「Matter」による標準化によって Apple HomeKit 製品は増えるのか?
2022年10月から「Matter 1.0」が利用開始となった。
かねてより話題になっていた Matter によって、スマートホーム製品が増えるのか?
Matter(マター)とは、スマートホームの標準化規格とも言えるもので、
Amazon
Apple
などの各社様々な実装がされたスマートホーム技術に相互運用性を持たせるものだ。
これまで、スマートホーム製品の製造メーカーは上記各社の技術にそれぞれ対応しなければならなかった。
しかし、Matter の登場によってそれらのコストが解消されることとなる。
すなわち、メーカーは製品をMatter に準拠するだけで各社のスマートホーム規格に対応することが可能となったのである。
Matter の登場によって様々な機器が各社のテクノロジーに対応することができる。
これによって、特に Apple HomeKit への対応が期待される。
日本では iPhone ユーザーが多く、HomeKit や Siri をはじめとした Apple のテクノロジーは需要が高いと考える。
しかしながら、HomeKit の登場からしばらく時間がたったにもかかわらず、対応製品は少ない。
特に Apple 製品に関してはライセンスなどのハードルが高い部分もあったかもしれない。
Matter の登場によってこれらのソフトウェア的なハードルは解消されることで、対応製品が増えることを期待する。
Matter の登場によってスマートホーム製品、特に HomeKit 製品は増えるのか?
個人的な見解としては、まだ時間を要するかもしれないと考える。
日本における HomeKit 製品は非常に少ないが、海外ではいくつかの革新的なデバイスが存在する。
Appleのライセンスに準拠していながら、それらのデバイスが日本に流通しない理由の一つとして「技適」も影響していると思われる。
「技適」とは、特に無線通信を伴うデバイスが、その国が定める法律に準拠しているか?といった基準であるが、これがハードウェア製品のひとつのハードルにもなっている。
日本におけるスマートホーム製品が少ない現状を考えると、
日本のスマートホーム市場が世界からターゲットにされていない
上記のことより、日本の技適を取得するコストが割にあっていない
のではないかと考える。
その為、世界規模で考えると HomeKit 製品を含めたスマートホームデバイスは爆増するのではないかと考えるが、日本への流通まで考えると消極的だ。
ソフトウェアの世界では様々な障壁を取り払うためのテクノロジーが続々と登場している。
ハードウェアにおいても、オープンソース化が進められたり製品化までのハードルは下がっているのかもしれない。
しかし、各国の法律、特に「電波」や「通信」に関してはセキュリティなどの観点によって、国の審査が厳しい状況は続くと思われる。
Matter をはじめとする技術の登場によって、ハードウェア関連スタートアップ企業などへの恩恵も多大と思われる。
未だハードルが高い技適をはじめとした「審査」フェーズをスキップ(簡素化)できるような法整備も必要な時代に突入しているのかもしれない。